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令和4年6月11日の掲載記事です

令和4年6月11日読売新聞記事

新潟にプロオーケストラ

新潟市に、プロオーケストラ「新潟A・フィルハーモニック」が結成された。
同市に事務所を置くプロ楽団は初。5年前に準備を始め、新型コロナウイルスの影響で公演できずにいたが、11日に初めての定期演奏会を開く。
発起人で「にいがた音楽アーティスト協議会」(新潟市中央区)代表の高松正典さん(34)は「市民、県民に愛されるオーケストラを目指「したい」と意気込んでいる。(大竹弘晃)

きょう初の定期公演

「もう少しテンポを遅くした方がいいよね」「もう一回出だしから確認しよう」

同市中央区の市音楽文化会館で9、10の両日に行われリハーサル。県内外からトップクラスの演奏者1人が集まり、目前に迫った本番に向けて最終調整していた。
新型コロナの影響で集まって練習することができず、初めて顔を合わせたメンバーも。
高松さんは「練習を重ねる度に音が重なり合っていい音色を醸し出している。いよいよですね」と感慨深げに語った。

県内には、三条市のフルート奏者の女性が代表を務め、新潟市や県央地域などを中心に活動するプロオーケストラ「新潟セントラルフィルハーモニー管弦楽団」がある。
だが、全国38のプロ楽団が加盟する「日本オーケストラ連盟」や読売新聞の調査によると、新潟市に事務所を置くプロオーケストラはなかった。
全国20の政令市で事務所がないのはほかに、さいたま市、相模原市、浜松市、熊本市の4市だけだ。

聖籠町出身で、都内でオーケストラの運営などに携わる一般社団法人の事務局長を務める高松さんは「プロオーケストラがなくてさみしい」と常々感じていた。
市内の音楽関係者からも「子供たちに夢や希望を与える地元のオーケストラをつくってほしい」と依頼された。
「市民の感性に響くオーケストラをつくろう。培ってきた経験を生かして……」。胸に秘めていた思いが一本の線となってつながり、2017年6月頃からオーケストラ設立に向けて動き出した。
仕事仲間などを通じてメンバーを集め、企業に協賛を依頼し、20年頃までのオーケストラデビューを目指していた。
だが、新型コロナの影響で活動ができなくなり、初公演の時期が見通せなくなった。
新型コロナ禍は長く続いたが、高松さんらメンバーは諦めなかった。
「まずは演奏会を開いて、お客さんに聴いてもらいたい」と約1年前にコンサート会場を予約。
再び感染が急拡大して、中止になるかもしれないとの不安を抱きながら準備を進めた。ワクチン接種が進み、各地でイベントの際かいが相次いだことから、初の演奏会際にこぎつけた。

11日は、県内外の弦楽器のプロ演奏者が、グリーグの「ホルベルク組曲」、ビバルディの「四つのバイオリンのための協奏曲」「四季」の3曲を披露する。
国内の有名オーケストラで活躍し、今回のコンサートでソロコンサートマスターを務めるバイオリニスト渡辺美穂さん(38)は「旗揚げに携わることができて光栄。一人一人のレベルの高い音色に注目してもらいたい」と語る。今後は日本オーケストラ連盟への加盟を目指し、定期演奏会などの公演回数、メンバーの待遇などの加盟条件の達成を目指すという。高松さんは「これから徐々に規模を大きくし、全国で通用するオーケストラを目指したいと話す。

公演は午後2時半開演。一般4000円、高校生以下1500円(未就学児入場不可)。問い合わせは、にいがた音楽アーティスト協議会事務局(080・8712・7805)

読売新聞 令和4年6月11日